三十歳を過ぎた頃からだろうか。朝、枕についた抜け毛の数や、シャワー後の排水溝に溜まる髪の量に、漠然とした不安を感じるようになった。まだ「はげ」というほどではない。しかし、髪全体のボリュームが減り、スタイリングがうまく決まらなくなったのは紛れもない事実だった。焦った私は、まずドラッグストアで「スカルプケア」と名のつく、いかにも洗浄力の強そうなシャンプーに手を出した。皮脂を根こそぎ洗い流せば、何とかなるだろうと思ったのだ。しかし、それは間違いだった。使い続けるうちに、頭皮は乾燥してカサカサになり、時にはかゆみまで感じるようになった。良かれと思ったことが、かえって頭皮環境を悪化させていたのだ。そんな時、美容師の友人から言われた一言が、私の考えを大きく変えた。「髪の悩みがあるなら、まずはシャンプーを“守り”に変えるべきだよ。頭皮は顔の肌と同じ。洗いすぎは禁物なんだ」。彼は、育毛シャンプーとは、髪を生やす魔法の薬ではなく、デリケートになった頭皮を守り、健やかな状態に整えるための「守りのケア」なのだと教えてくれた。目から鱗が落ちる思いだった。私は早速、彼に勧められたアミノ酸系の洗浄成分を主とした、保湿成分配合の育毛シャンプーを試してみることにした。最初は、そのマイルドな洗い上がりに物足りなさを感じた。しかし、一週間、二週間と使い続けるうちに、あれほど悩まされていた頭皮のかゆみがすっと治まり、乾燥によるフケも出なくなった。そして何より、シャンプー時の抜け毛が明らかに減ったのだ。育毛シャンプーを使い始めたことは、私にとって単にシャンプーを変えたという以上の意味があった。それは、「髪を洗う」という意識から「頭皮をいたわる」という意識への転換であり、自分の体と真剣に向き合うきっかけとなった、大切な一歩だったのだ。
私が育毛シャンプーを使い始めた理由