男性型脱毛症の進行度を客観的に評価するために世界中で広く用いられているのがハミルトンノーウッド分類という指標であり、これは薄毛のパターンを段階的に分けることで、現在の状態を正確に把握し、将来の予測を立てるための非常に重要なツールとなっています。この分類法は一九五〇年代にハミルトン医師によって提唱され、後にノーウッド医師によって改訂されたもので、主に額の生え際の後退具合と頭頂部の薄毛の広がりを組み合わせて評価します。具体的には、進行の初期段階であるステージ一から、髪の大部分が失われた最終段階であるステージ七まで、九つの基本タイプといくつかの亜型に細分化されています。ステージ一は、見た目にはほとんど変化がありませんが、将来的な進行の兆候が隠れている可能性がある状態を指します。ステージ二になると、額の生え際の両端、いわゆる剃り込みの部分が後退し始め、M字型のラインが形成されます。多くの男性が薄毛を自覚し始めるのはこの段階からですが、この時点ではまだ周囲に気づかれることは少なく、早期対策を講じることで現状維持が非常に容易な時期と言えます。ステージ三では、生え際の後退がさらに進み、正面から見た際のM字の切れ込みが深くなります。また、この段階から「頂部型」と呼ばれるバリエーションが登場し、生え際はステージ二程度であっても、つむじ周辺が円形に薄くなるケースが分類に含まれます。ステージ四に入ると、前頭部の後退と頭頂部の薄毛がそれぞれ独立して顕著になり、両者の間にまだ髪の帯が残っているものの、一見して薄毛が進行していることが分かるようになります。ステージ五では、前頭部と頭頂部を隔てていた髪の帯が細くなり、次第に両者が繋がり始めます。そしてステージ六では、その帯が完全に消失し、前頭部から頭頂部にかけて広大な地肌が露出するようになります。最終的なステージ七になると、側頭部と後頭部の低い位置にわずかに髪が残るのみとなり、頭髪の大部分が失われた状態となります。このハミルトンノーウッド分類を理解することは、単に自分の現在地を知るだけでなく、適切な治療薬の選択や、植毛を行う際の必要なグラフト数の算出など、医学的な意思決定において欠かせないプロセスです。例えば、前頭部のM字型は薬物療法だけでなく外科的なアプローチが有効な場合が多いのに対し、頭頂部のO字型は血流改善を伴う投薬治療に反応しやすいといった傾向があります。薄毛は決して一様に進むものではなく、個々の遺伝的な背景や生活習慣によって特定のパターンを描きながら進行していくため、この分類を羅針盤として活用し、科学的な根拠に基づいた対策を練ることが、大切な髪を生涯にわたって守り続けるための第一歩となるのです。