自分の頭頂部を真上から見る機会というのは、日常生活において驚くほど少ないものです。私の場合も、毎日の洗面台でのチェックは専ら正面の顔色や前髪のセットに費やされており、後頭部や頂頂部の異変には全く無頓着でした。異変に気づいたのは、友人の結婚式に出席した際、集合写真でたまたま後ろの席に座っていた私の姿が写り込んでいたことでした。高い位置からフラッシュを浴びた私の頭頂部は、周囲の友人と比べても明らかに地肌が白く浮き上がっており、中心部から放射状に髪が細くなっているのが一目で分かりました。ショックでした。ハミルトンノーウッド分類で言うところの「ステージ二頂部型」に相当するその姿は、私が自分自身に対して抱いていた「まだ若々しい」というイメージを根底から覆すものでした。頭頂部の薄毛、いわゆるO字型は、自覚症状がないまま静かに、そして確実に進行するのが特徴です。手で触った時のボリュームが減ったと感じたり、枕元の抜け毛が増えたりした時には、すでにかなりの割合の毛髪が細分化されている可能性があります。私はその写真を見た翌週、迷わず専門クリニックへ駆け込みましたが、そこで学んだのは「頭頂部こそ、最も回復のポテンシャルが高い場所である」という希望のメッセージでした。医師の説明によれば、頭頂部は毛穴の数が多く残っていることが多いため、早期に薬による介入を行えば、劇的なリカバーが期待できるとのことでした。私はすぐにフィナステリドの服用を開始し、同時に自宅でのスカルプケアを徹底しました。シャンプーの際には、硬くなった帽状腱膜をほぐすように丁寧な指使いを心がけ、頭皮の血行を常に意識する生活へとシフトしました。あれから一年、今では当時の写真が信じられないほど、頭頂部の密度は回復しています。もし、あの写真を見ることがなければ、今頃はさらに進行が進み、手遅れに近い状態になっていたかもしれません。自分の背後や真上は死角になりやすいですが、そこには嘘偽りのない今の自分が映っています。ハミルトンノーウッド分類の図にあるような、あの円形の空白が広がる前に、勇気を持って自分の「死角」を確認することの大切さを、私は身をもって知りました。早期対策は、単に薬を飲むことだけではなく、自分の現実を直視し、ライフスタイルそのものを髪を育むための環境へと変えるきっかけになります。鏡の前で背中を向け、合わせ鏡でつむじを確認する数秒の習慣が、将来の自分を救う最大の武器になるのです。